Essay

「どの生成AIがおすすめ?」と聞かれたら、私が答えていること

公開

「生成AIを使ってみたいんですけど、何を使えばいいですか?」

最近、本当によく聞かれる質問です。

ChatGPT、Gemini、Claude。いろいろあるけれど、結局どれがいいの? 無料版でも十分? 有料版にしたほうがいい?

私は普段、家事や子育て、仕事など、生活のさまざまな場面で生成AIを使っています。その活用法を本や記事、SNSで紹介していることもあって、使い方について相談される機会も増えました。

そう聞かれたとき、私は「まずはChatGPT。無料版から始めて、しばらく使い続けてみて」と答えています。

私自身は2026年10月時点で、ChatGPTとClaudeの両方に課金しています。それでも最初は一つでいいと思うのは、どれを選ぶかより、一つを使い続けることのほうが大事だと感じているからです。

ただ、ChatGPTをすすめるときに、一つ気になっていることがあります。相談を受けていると、ChatGPTを使っているつもりで、実は別のアプリだった、という人に何度か出会ってきたのです。

それ、ChatGPTじゃないです

以前、「私もチャッピー使ってます!」とスマートフォンの画面を見せてもらったことがありました。

ところが、そこに表示されていたのは、OpenAIのChatGPTではなく、別のよくわからないAIアプリ。

また別のときには、ChatGPTの話をしているつもりが、実際に使っていたのはGoogleのGeminiだった、ということもありました。

ChatGPTの愛称として「チャッピー」という呼び方が広まっていますが、AIと会話できるサービスをまとめてそう呼んでいる人もいるのかもしれません。

もちろん、GeminiやClaudeなど、ChatGPT以外の生成AIを使うことに問題はありません。ただ、開発元がよくわからないアプリだと、入力した内容がどう扱われるのかも確かめにくくなります。それに、生成AIはどれを使っても同じ結果になるわけではありません。

同じ生成AIでも、モデルによって性能は違う

私が紹介したAIの活用法を試して、「同じようにやってみたけれど、うまくできなかった」と相談されたこともあります。詳しく聞いてみると、私とは違う生成AIを使われていました。

性能は、ChatGPTやGemini、Claudeといったサービスによって違うだけでなく、その中で使われている「AIモデル」によっても異なります。

モデルとは、質問を読み取って答えを組み立てる、生成AIの中心の仕組みです。同じサービスでも、無料版か有料版か、どのモデルを選んでいるかによって、使われるモデルが変わることがあります。

モデルの性能は近年、大きく進化しています。スタンフォード大学の研究所が公表した『AI Index Report 2026』(新しいタブで開きます)でも、AIの推論能力やプログラミング能力などが急速に向上していることが報告されています。

私自身、モデルが進化するにつれて、こちらの意図をくみ取る力や、複雑な条件を整理して考える力が向上していると感じています。

ただし、ここでいう「賢さ」と、答えの「正確さ」は同じではありません。難しい問題を解けるAIが、人間には簡単に思える問題を間違えることもあります。同じレポートでは、国際数学オリンピックで金メダル水準の成績を出すAIがある一方で、アナログ時計の時刻を正しく読めたのは、最も成績のよいモデルでも約半分だったという例が紹介されています。

日常のちょっとした質問や文章の言い換えなら、最新の高性能モデルでなくても困らないことが多いと思います。一方、複雑な資料の分析やプログラミングなどでは、モデルによる差が結果に大きく表れることがあります。

私が気にしているのは、最新かどうかより、やりたいことに対して性能が足りているかどうかです。

「生成AIって思ったほど使えないな」と感じたら、質問の仕方だけでなく、使用しているモデルを見直してみるのも一つの方法です。

結局、どの生成AIを選べばいいの?

OpenAIのChatGPT、GoogleのGemini、AnthropicのClaudeには、それぞれ特徴があります。ただ、日常的な用途では、共通してできることがかなり多いと感じています。各社の開発競争は激しく、以前は特定のAIだけが得意だったことが、ほかのAIでもできるようになってきました。

私の場合、ChatGPTとClaudeの利用割合はおよそ6対4です。ただ、この割合はしょっちゅう変わります。新しいモデルや機能が登場するたびに、使い心地や得意なことも変わっていくからです。

二つ使っていると、同じ質問をして回答を比較できるのも便利です。特に文章を練ったり、提案を検討したりするときには、一方になかった視点がもう一方から得られることもあります。

ただし、二つのAIが同じことを言ったからといって、それが正しいとは限りません。

それでも、これから使い始める人に、最初から複数を使い分ける必要はないと思っています。一つ選ぶならChatGPTをすすめているのは、文章での相談だけでなく、写真や音声、ファイルを使ったやり取りなど、幅広い用途を一つのサービスで試せるからです。

最初は一つで十分。でも、ずっと一つである必要もありません。

無料版と有料版、どちらを使えばいい?

ChatGPTは、無料版でも文章作成や相談、画像やファイルを使ったやり取りなど、さまざまなことができます。ただし、利用できるモデルや機能、使用回数には制限があります。

日常のちょっとした相談なら、無料版で十分という人も多いでしょう。複雑な作業を頻繁に頼みたいなら、有料版のほうが便利な場合があります。まず無料版を使ってみて、面白いと感じたら、一度有料版を試してみるのもいいと思っています。

ただし、お金を払えば、必ず正確な答えが得られるわけではありません。

生成AIは、検証済みの事実だけを取り出して答えているわけではないので、もっともらしい誤情報を生成してしまう「ハルシネーション」が起こります。2025年にOpenAIの研究者らが発表した論文(新しいタブで開きます)では、この現象が起こる背景として、わからないと認めるよりも、推測して答えることが評価されやすい学習・評価の仕組みが指摘されています。高性能なモデルでも、間違いは起こります。

有料版の価値は、正確さだけでなく、利用できるモデルや機能、使用量にもあります。必要かどうかは、実際に使いながら判断すればいいと思います。

一つのAIを使い続けることにも意味がある

一つのAIを使い続けるよさの一つは、以前の会話で伝えた情報を、次の相談にも生かせることです。

例えばChatGPTには、設定に応じて過去の会話や関連情報を参照し、家族構成や好み、以前相談したことなどを踏まえて回答するメモリ機能があります。

もちろん、すべてを正確に覚えているわけではありませんし、記憶した情報が古くなったり、間違っていたりする可能性もあります。それでも、毎回一から説明する手間が減るのは便利です。

ただ、私がそれ以上に価値を感じているのは、使う側の経験が積み重なっていくことです。

何度も使っていると、AIが得意なことや苦手なこと、どう頼めば期待する結果に近づくのか、どんな回答は自分で確認する必要があるのかが、少しずつわかってきます。

「こんなこともAIに相談できるんだ」と気づく機会も増えて、日常の中で面倒なことに出合ったとき、「これもAIを使って解決できないだろうか」と考えるようになります。

私自身、使い続けてきて一番大きく変わったのはここでした。以前なら自分には難しいと思っていたことでも、AIに相談しながら、自分で解決方法を考えられるようになりました。

もちろん、ただ使う回数が増えれば、自然に上達するわけではありません。AIの回答を鵜呑みにせず、結果を確かめ、必要に応じて頼み方を変える。その繰り返しがあって、使う側の経験になるのだと思います。

Microsoft Researchなどの研究者らが知識労働者319人に行った調査(新しいタブで開きます)でも、生成AIを信頼している人ほど、自分で批判的に考えることが少なくなる傾向が報告されています(参加者の自己申告にもとづく調査です)。

AIが自分に合った回答を返しやすくなるだけでなく、自分もAIをより適切に使えるようになっていく。 私は、この両方に価値があると思っています。

家庭の不便をどう仕組みにしてきたかは、生成AIで家庭の不便を仕組みにするにまとめています。

AIに詳しくなることが目的ではない

生成AIを使い始めるのに、特別な知識や完璧な指示文は必要ありません。

「今日の夕食、何にしよう」「この学校のお知らせ、結局何をすればいいの?」「このメール、どう返信しよう」

そんな身近なことから相談できます。

何を聞けばいいか迷う場合の考え方は、生成AIに何を聞けばいい?に書きました。

生成AIを使う目的は、生成AIに詳しくなることではありません。

自分の暮らしを、自分で便利にしていくこと。

最後に、ChatGPTを使うなら、入口は公式サイトのchatgpt.com(新しいタブで開きます)です。スマートフォンのアプリは、開発元が「OpenAI」になっているかで見分けられます。

せっかくChatGPTを使おうと思ったのに、気づいたら別のアプリを使っていた、ということのないように。

参考資料:Stanford HAI『The 2026 AI Index Report(新しいタブで開きます)』(2026)/OpenAI「Why Language Models Hallucinate(新しいタブで開きます)」(2025)/Lee et al.「The Impact of Generative AI on Critical Thinking(新しいタブで開きます)」(2025)。各サービスの公式サイト:ChatGPT(chatgpt.com(新しいタブで開きます))/Gemini(gemini.google.com(新しいタブで開きます))/Claude(claude.ai(新しいタブで開きます))。サービスの機能や料金プラン、利用できるモデルは随時変更されます。本記事は2026年10月時点の情報と筆者の利用経験にもとづいています。

Xでシェア(新しいタブで開きます)

著者について

宮崎真理

『AI×家事』著者

神戸大学大学院で生体計測工学を専攻し、修了後はオムロン株式会社で技術職として勤務。出産を機に10年間の専業主婦生活を経て、2023年より生成AIを家事・子育てに取り入れ、暮らしの中での活用を実践している。

WOMAN AI AWARD 2026 ライフ・イノベーター賞受賞。講談社「with class」でコラムを連載するほか、テレビ出演、雑誌・Webでの執筆・監修などを行う。

3兄弟の母。1000日以上にわたる生成AIの実践経験をもとに、理系出身・元専業主婦の視点から、家庭という最もテクノロジーが遅れた場所を、生活者自身がアップデートしていく可能性を発信している。

取材・メディア出演・対談・執筆・監修のご相談を承っています。

お問い合わせはこちら →